なんとなくなんですけど、市中病院よりも大学病院の方が体系立った教育があって、ここに身を置いている方が勉強になる、なんていうイメージありませんか?
今日はこれについて、大学病院で2年働いて今年度で医局を辞めることにした私が感じたことを書いておきます!
私自身は初期研修は市中病院で、麻酔科医1年目もそのままそこの市中病院(医局には所属せず)で過ごしました。ちなみに私の研修病院は割と大きな病院で研修先としては人気の病院でした。
ただ、色々思うことがあって、麻酔科医2年目で新天地の大学病院に入局しました。そしてさらに色々あって医局は2年で辞めることにしたという、何とも自由奔放な人生を歩んでいます。
そんな自分が思う大学病院が市中病院より勉強になる説について!書いて起きますね!
Contents
自分が大学病院で働こうと思った時

自分が大学病院へ行ってみようと思ったのは、色々考えた末の結論でした!まぁ一番は、一度くらいは大学病院で働く経験しといた方が良さそうだなー?っていうふわふわした感じの思考なんですけどね…笑
麻酔科って座学が結構大事だと思ってる
麻酔科医って手技が大事なイメージもたれますけど、ぶっちゃけ麻酔科の手技って外科と違って数こなせば誰でも出来ると思うんですよ。多少の上手い下手はありますけど、外科の上手い下手ほどにはシビアなものじゃないと思うのです。
昔外科の先生が言ってたんですよ。
外科医を10人集めると、2人くらいは最初からオペが上手くて、少しの症例でも上手くなる。2人くらいは最初から下手で、いくら症例を積んでも下手なまま。残り6人は普通で、経験を積めば上手くなる。
うーん、確かに外科医は才能がいるのかも…。ただ、麻酔科医に関して言えば手技が出来なくてどうにも困る人ってあんまりいない。挿管でもライン確保でもエコーガイド下の手技でも、それなりに件数重ねれば大体出来るようになるイメージです。
ですから、それよりも呼吸や循環の生理学、薬理学などの基礎的な知識が割と大事なんだと私は思ってました。
まぁそうは言っても何事もバランスが大事。知識だけ蓄えて手技が全く出来ないんじゃその医者使い物にならないし、逆も然り、なのです。
ただ、闇雲に手技とか数だけこなすのは学ぶ上で効率は良くないと思ってました。
症例は数と質が大事
なんでも数をこなすことは大事なんですけど、やっぱり経験する症例の質っていうのも相当大事だと思うのです!
それで、大学病院はやっぱり設備が充実していたりして市中病院では対応出来ないような珍しい症例、重症な症例が多い。「若いうちはCommon diseaseを学ぶために初期研修は市中病院が良い」なんて言ってる人もいるけど、断言しましょう。
Common diseaseなんて頑張って学ぼうと思わなくても沢山くるし、多分何例も見てたらすぐに飽きてくる。
偉そうに言うな!なんて先輩ドクターから怒られそうですが、実際問題そうなってくると思うわけです。だからね、最初から珍しい症例とか、重症な症例に当たりながら勉強するの、良いんじゃないかなって思ってます。
これは麻酔科に限ったことじゃないけど、よくある決まった治療するだけの症例10例見るよりも、重症な症例や珍しい症例1例診る方が勉強になると思うんですよね。
大学病院の方が体系的に学べる?
私自身は冒頭でも書いた通り、初期研修は市中病院で、麻酔科医1年目もそのままそこの病院で過ごしました。
この時に市中病院だけでずっと働いてきていて医局に所属していない先生と、医局から派遣で来ている先生がいたのですよね。色んな先生に色んなことを教わりましたが、後者の先生の方が知識が体系的で、理論立って教えてくれる印象でした。
そんな様子を見ていたり、上述のように感じていたことなんかもあり、やっぱり私も一度は大学病院で働こう!と決心したわけです。
実際大学病院の方が勉強になるか?

そんな経緯で大学に入局したわけですが、結論から言えば勉強になりました。
ただ、私の場合は元からずっと医局に属して働く、ということには疑問があったし、色んな事情があって2年で辞めちゃいましたが、結構濃い2年間だったなと!
適度な座学は大事
私のいた医局は勉強会なんかも積極的にやっていて、こういう適度な座学は大事だと思いました。実践だけだとどうしてもいわゆるExperience Based Medicineになりがちです(´・ω・`)
経験を積むのが大事なのは間違いないのですが、どこかで教科書的なこと、現在のスタンダードを学ぶ必要はあると思うんですよね。そんなん自分でやれよーと言われればそれまでなのですが、なかなかこういうベーシックな内容を自分でやるのってどこが大切なのかとか分かんなかったりもするじゃないですか。
私はそういう基礎知識のレクチャーとか勉強会とかが結構有り難いと思いました。この部分はやっぱり大学病院という場所に感謝してます(*´艸`)
実際、重症例が多い
症例はシビアな患者が集まりやすかったと思います。リスクの高い患者が多いので、そういう意味では1例1例勉強になる症例が市中病院にいたときも断然多かった。
かといってCommonなものはいくらでもあるのでそういう症例が診られないわけじゃないし、そういう意味でやっぱり大学って勉強になるなって感じでした。
リスクマネジメントが大事な仕事ですから、トラブルがないに超したことはないですけどいざ起こった時の対処を身につけるのには良い環境だと思いましたよ!
理論的に教えてもらえる?
勉強会やレクチャーが多くて良かったなとは思いましたが、大学病院の先生が全員理論立てて教えてくれる人かと言えばそうでもないかなと。
みんな「マイ方法論」みたいなのを持ってる人が多いので、結構根拠なく自分の好きなやり方でないと許せない、っていう感じの上司もいっぱいいます。なのでここはもうその人次第なので、大学病院の先生だからすごい、みたいなのはないのかなと…。笑
結局、理屈の部分は自分で勉強する→実践を教わる
と割り切るのが一番上達するんじゃないかなぁというのが、麻酔科3年目が終わろうとしている私の所感です。
結論

大学病院は勉強になることは多かったです。なので私は2年だけだったけど大学医局に所属出来て良かったなと!
ただ、はっきり言って大学病院て大変だと思います。普通に忙しい、多分どの科もです。ほんとに辛かった…(´・ω・`)
なのである程度最初の知識を吸収したら私の場合は長くいる意味もないかなと感じてしまったので私はもう医局は離れます。この経緯はそのうち書いても良いんですけど、結構医局のダークな話も書きたくなるのでちょっと書く場所は考え中です。
今ってインターネットも発達して医師自身も医局に頼らずとも自分で職場を探しやすくなったし、医師向けの転職支援サービスも発達しているので、無理してずっと医局で過ごす必要はないかなとも思えてしまいますね…。勿論、みんながそんな風に考えていたら医局が崩壊してしまうんでしょうけど(^_^;