保険の話

銀行窓口で勧められたドル建ての終身生命保険のお話

こんにちは!先日たまたま行った銀行の窓口で「ドル建ての終身生命保険」を薦められました。私自身はこの保険にあまり魅力は感じていないので入りませんでしたが、周囲の話を聞いているとこの種類の保険に入ってるドクターが多いんですよね。

ドル建て終身保険は一見すると少ない保険料で高額の保証が受けられて、しかも掛け捨てじゃない、と良いことづくめの保険に見えますが、かと言って保険は入れば入るほど損するのが定説です。それだけ保険会社にマージンが取られてしまいますからね。

だからこの保険について、「早く入る方が総支払額も安く済むって聞いた!貯金にもなるしとりあえず入ってる!」とか言ってる独身貴族ドクターはやめとけって思ってます。

今日はこのドル建て終身生命保険のメリットデメリット、どんな人には向いているか、などを解説してみようと思います。

ドル建て終身生命保険について

先日は銀行に別の用事で行ったのですが、待ち時間に保険の案内をされました。

最初に仕事や年収に関して聞かれて正直に答えていたので、「医者でそれなりの年収」ということでこの保険を勧められたんだと思います。

私が薦められたのはプルデンシャルの「米国ドル建終身保険」でした。

私が提案されたプランでは毎月数万円ずつ積立をしていって、65歳の定年まで積み立てます。この保険では保険料を払い始めた瞬間からかなり高額の死亡保障がつきます。月数万円の積立なら大体20~30万ドル(2000~3000万くらいですね)の死亡保障になります。

さらに、この積み立てたお金は決して掛け捨てではなく、もし自分が死亡しなかった場合には積立元本以上の額がちゃんと戻ってくるようになっています

万が一積立初期に解約した場合は、払い込んだ元本を下回ってしまう場合もありますが、一定額まで積み立てればそれ以降は年利3%でどんどん増えていく、というものです。65歳の定年まで積み立てれば払った元本の130-140%に増やすことが出来て、それ以降も解約せずに持ち続ければ更に毎年3%ずつ複利で増えていきますよってことです。

紹介してくれた保険のお兄さん曰く、元本の140%という数字を見て多くの人は「えっ保険の積立額がこんなに増えて返ってくるんですか!?」と驚くそうです。

確かに一見すると積み立てた金額が増えて戻ってくる上に、万が一の生命保険も掛けられていいことづくめのように見えるこのドル建ての終身生命保険。

だけど世の中デメリットがないものなんてないわけです!

元本140%は本当にお得?ドル建て終身生命保険の罠

本当にドル建て終身生命保険は良いことづくめなのか!?といえばそうではありません!まずは元本140%という数字、どうして死亡保障の保険も掛けながらこんなにお金を増やせるの?というところから説明していきます。

経済学の基本の考え方、お金の”現在価値”

経済学の話で出てくるとても基本的な考え方なのですが、今現在使える100万円と10年後に使える100万円の価値は同じではないのです。基本的には世の中インフレになっていくことが多いです。日本はデフレが問題になっていましたが、健全な経済成長の中にある場合には年数%程度のインフレに傾くのが通常なのです。

例えば年1%ずつインフレが進んでいるときには、単純計算で年1%ずつお金の価値が下がってしまっています。今持っている100万円が10年後も100万円のままだったら、「資産は目減りしている」とということになります。

よく「タンス預金はインフレに弱い」って言われますけどこういうことなんです。銀行預金の利子はお金の現在価値の考え方で考えて、世の中でお金の価値が下がった分、口座の中のお金が増えたと考えると少し分かりやすいかもしれません。(厳密にはインフレ率がそのまま金利に反映されるわけではないですが、ある程度相関します。)

というわけで30年も資金をロックされるわけですから、30年後にお金が増えているのは”当たり前”なわけです。

複利のパワーを使えば定年までに140%は意外と簡単?

例えば、毎月3万円ずつ積み立てて、これを年利3%で運用するとします。ちなみに3%という数字は普通に投資信託やウェルスナビなどのほったらかしの投資商品に投資したとしてもそこまで難しくない数字だと思っています。

私はアラサーなので、30歳から積立を開始して、65歳までの35年間積み立てるとします。

最終的にいくらになると思いますか?

まず積立元本は、

30,000×12×35=12,600,000

となります。で、これを年利3%で毎年運用したとします。計算式は書けないのでエクセルさんにお願いしてきました。

その結果ですが、

¥22,246,910

になります。元本の176%になるという計算です。勿論自分で運用した場合は毎年年利3%で運用出来るわけではないと思いますが、投資信託などローリスク商品でも年利3%ってそんなに難しくないのでは?と思います。

私もほったらかしの投信積立やウェルスナビなどのロボアドバイザーなどにお金をいくらか入れていますが、今のところは最低でも年利6%くらい、少なくとも年利3%を下回ってることはないです。

保険は入るほど損するものと思うこと!

当たり前ですが保険会社は慈善事業ではないので、私たちから集めたお金をある程度私達に還元してくれるとは言え、必ずそこから手数料をひいています。しかもちょっとやそっとじゃなく、結構がっつりを手数料を引いているわけです。

保険会社がなぜ最終的に元本から140%まで増やして返せるのか、その集めたお金を株式や債券などで運用していて、その運用益からごっそり手数料をひいた上で私たちに還元してくれてるのが年利3%ってことです。

ちなみに保険料支払い開始直後は解約返戻金は元本を下回ります。手数料がかかるので当然ですが、私たち利用者の側から見ればマイナスからスタートの運用がされているってことです。つまりは運用開始後はマイナスでスタート→少しずつ回復してやっとプラスに!っていうことになります。

ドル円の為替変動を理解しておくこと

もう一つ、このドル建て保険のトラップはその名前の通り「ドル」での運用をしているので、ドル円の為替変動によって月々の保険料が変動するし、死亡保障の金額や最終的に返戻金として戻ってくるお金も違ってきます。

為替変動なんてたかが数円でしょ?そこまで大したことないんじゃ?と思うかもしれませんが、30年間も支払いが続くもので、1ドル当たりの数円の変動は馬鹿になりませんよ!

ただ、ドルで運用しているからこそ高い利率、保険金に比して高い死亡保障がかけられているので、一つのリスクとして理解するしかないですね。

無駄な保険に入らないためには、保険に入る目的を考えること

保険ってなんのために入るんだと思いますか?

この答えはただ一つで、「不測の事態でたくさんのお金が必要になるような状況に備えるため」です。逆に言えば不測の事態以外のことに対しては保険で対応しなくてもいいと思うのです。

私は「保険で貯金」はするべきではないと思っています。だってわざわざ高額な手数料を払って貯金してもらってるようなものです。子どもの教育費のための学資保険、なんかはちょっと保険の考え方が根本的に違うなーと思うわけです。

このドル建て終身保険も、確かに元本より増えているように見えるけど、上述のお金の現在価値や、複利の効果を考えれば自分なりに別の投資商品に投資した方が貯蓄効果は高いと思うんですよ。勿論他の投資商品も手数料はかかりますが、保険商品は万が一の場合に支払う死亡保障の分も加味した手数料もひかなければなりませんから、「貯蓄が目的」での保険は根本的に間違ってると思うのです。

なので後述のように家族のための死亡保障をつけるため、なら有用なのですが、独身貴族のドクターが「若いうちに入った方が総支払額も少なくて済みますよ!」というセールストークで意味のない生命保険に入ってるのは本末転倒です。それなら結婚するまでは別の方法でお金をためて、結婚して自分に生命保険が必要だと思ったときに入った方が断然良いのです。

ドル建て終身生命保険のメリット、向いている人

ここまで割とデメリットな部分を強調してきましたが、もちろんドル建て終身生命保険のメリットな面もあり、向いている人もいます。

最大のメリットは保険料に比して高額な死亡保障が受けられること

やはりこの保険のメインは「死亡保障」を軸に考えるべきです。

ドル建ての終身保険は日本円での生命保険よりも高利率での死亡保障がつけられます。

また、ここまでざんざん「元本140%なんて大したことない」的なことを書いてきましたが、これも日本円の生命保険に比べたらかなり良い利率の返戻金であることは間違いありません。

それなりの金額を払い込まないといけなくはなりますが、そこそこ高収入で生活費にもゆとりのあるドクターに勧められるのはそれゆえです。

専業主婦の奥さんと子どもがいる場合、万が一の死亡保障をつけながらも掛け捨てじゃなくて、例えば子どもも自立してそこまでの死亡保障はいらないなと思い解約したとしてもまぁ損することはない、そんな保険ですね。

ドル建て終身保険に入るのに向いていそうな人

ここまでで、この保険が有用かなーと思うのは、以下の条件に当てはまる人かなとは思います。

必須条件

  • 自分にもしものことがあった時に金銭的に困る人がいる

相対条件

  • 自分で資産運用とか難しいから、勝手に3%ずつ増やしてくれるとかありがたい!
  • ドル円の為替変動のリスクも理解はしている
  • ある程度お金にゆとりのある高所得者

とにかく必須条件がないのに「早く入った方が得って聞いた!貯金にもなるって聞いた!」という理由で意味もなく入ってる独身貴族ドクターはやめとけって思ってる。

私の場合は旦那も医者だし両親もまだそれなりの収入もあるらしい。だから自分自身にそこまで高額の生命保険はいらないって思うし、資産運用とかも結構好きで勉強してきたから自分なりにそっちでお金をためれば良いって思うからいらないかなって感じです。

もしドル建て終身保険に入るなら

このドル建ての終身保険は同じような内容でいくつかの保険会社が出してますが、個人的にはプルデンシャルよりメットライフの方が良いかなと思います。プルデンシャルが「年利3%固定」であるのに対して、メットライフは「最低年利3%で運用益によって変動」なので、3%以上の年利がつく可能性があります。

あとは、払い込みの期間はなるべく短くした方が良いです。

マイナス運用期間が減りますし、貯蓄としての複利効果も高くなります。ある程度余裕があるなら、年間100万くらい払い込んで10年くらいで支払いを終えるくらいのつもりが良いんじゃないかなと。

年間100万なんて!って思うかもしれませんが、これを読んでくれてる読者さんがドクターなら、月に1回バイトすれば年間100万くらい稼げるからね、いけるいける(‘ω’)ノ

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えいみー
えいみー
修行や雑用が嫌いな意識低い系ゆとり世代です。なによりもコスパを重視するゆえ、出来るなら必要最小限の努力で立派な医者になりたいです。医局は辛かったので辞めました。要領の良さと見切りの速さがチャームポイントです。医者のQOMLを向上させよう!をテーマに情報発信するためのブログ書いてます。